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母乳やミルク、飲み過ぎかなと不安はありませんか?
おぎゃあ…おぎゃあ…おぎゃあ…! と赤ちゃんが泣き出したら、多くのママが授乳をするのではないでしょうか? 特に新生児であれば「泣く=オムツと授乳」と認識しているママも多いことでしょう。
実際に、筆者自身もそう思っていました。 それに「母乳なら飲みたいだけ飲ませて大丈夫」という話を聞いたことのあるママもいるかもしれません。 しかし、赤ちゃんによっては、好きなだけ飲ませた後に大量に吐き戻したり、眠っている間にうなったりすることがあります。
赤ちゃんが苦しそうな様子を目の当りにすると「なにか悪かったのかな…」と不安になりますよね。 また、赤ちゃんの体重があまりにも増えすぎると「母乳の飲み過ぎでは?」と心配にもなります。
そこで今回は、新生児~生後3ヶ月ごろまでの赤ちゃんが母乳を飲み過ぎてしまう場合とはどんな場合なのか、どういった対処方があるのかという点を調査しました。 母乳育児中の方はもちろん、母乳+ミルクの混合育児・ミルク育児をしている方にも役立ちます。 赤ちゃんの飲み過ぎに悩んでいる方はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
日頃の母乳はどれくらい?
赤ちゃんにとって母乳が多いのでは…と心配だと、平均的な授乳量が気になりますよね。 そこで、まず、一般的な授乳について確認しましょう。
新生児の授乳回数や1回の時間・量
授乳のペースは赤ちゃんそれぞれの差が大きいものです。 そのため、こちらでお伝えしている回数や1回の時間・量はあくまで目安として参考にしてくださいね。
◆完全母乳(完母)の場合 生後2週間までは、1日につき7~8回、1日を通して560mlが目安です。 生後2週間~1ヶ月は、1日につき6~7回、1日を通して700mlが目安です。 とはいえ、母乳がどれくらいの量出ているのかというのはとてもわかりにくいですよね。
医療法人社団ハシイ産婦人科のWebサイトによると、新生児期の平均授乳回数は8~12回、1回にかかる授乳時間は片側10~30分です。 新生児期は、母乳の出を安定させるという目的もあるため、赤ちゃんが求めるまま、頻繁に授乳しても大丈夫です。
◆完全ミルク(完ミ)の場合 生後2週間までは、1日7~8回、1回につき80mlを目安に与えます。 生後2週間~1ヶ月は、1日6~7回、1回につき120mlを目安に与えます。
◆母乳+ミルク(混合)の場合 まずは母乳を、1回につき左右合計5分を目安に与えます。次にミルクを30~40mlを目安に与えます。 1日の授乳回数は8~9回が目安です。
生後1~2ヶ月の授乳回数や1回の時間・量
◆完母の場合 1日6回、1日を通して840mlが目安です。 とは言え、こちらも目安のひとつ。生後2ヶ月ごろまでは、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけ授乳して大丈夫です。
◆完ミの場合 1日6回、1回につき160mlを目安に与えます。
◆混合の場合 まずは母乳を、1回につき左右合計10分を目安に与えます。次にミルクを足りない分だけ与えます。 1日の授乳回数は、8回が目安です。
生後2~3ヶ月の授乳回数や1回の時間・量
◆完母の場合 1日6回、1日を通して840~940mlが目安です。 この時期になると、少しずつ授乳の時間が固定され、適量を飲むようになっていきます。
◆完ミの場合 1日5回、1回につき200mlを目安に与えます。
◆混合の場合 まずは母乳を1回につき、左右合計10分を目安に与えます。次にミルクを足りない分だけ与えます。 1日の授乳回数は、6~8回が目安です。
参考:ハシイ産婦人科 https://www.hashii-hp.jp/theme25.html 参考:「ひよこクラブ 2018年10月号」ベネッセコーポレーション 参考:「母乳育児ミルク育児の不安がなくなる本」(渡辺とよ子監修) 主婦の友社
新生児の飲み過ぎのサイン
こうして見ると、ミルクは飲ませる分量がはっきりと決まっていますが、母乳なら飲ませたい分だけ飲ませていいことがわかります。 しかし、赤ちゃんが飲み過ぎてしまうというパターンも確かに存在します。 母乳やミルクを飲ませたあと、下記のような様子が多く見られる場合は、飲み過ぎの可能性を疑ってみましょう。
●授乳後、嘔吐する ●授乳後、しゃっくりをする ●とにかくよく泣く ●成長曲線を超えて太る
飲み過ぎは過飲症候群の心配も
母乳を飲み過ぎている赤ちゃんのなかには、飲み過ぎでさまざまな症状に苦しんでしまう「過飲症候群」となっている赤ちゃんもいます。 たとえば、前述の「新生児の飲み過ぎのサイン」以外にも、赤ちゃんにこんな様子が見られませんか?
●うなる ●足を突っ張る ●お腹が大きく張っている ●鼻づまりが起こっている
これらの様子は、赤ちゃんが飲み過ぎで苦しんでいる過飲症候群の症状かもしれません。
過飲症候群の診断
赤ちゃんが過飲症候群かどうかの診断は、下記の項目に当てはまるかどうかで決定されます。
1.1日につき50g以上の体重増加 2.溢乳(いつにゅう)→吐乳 3.いきみ 4.ゼコゼコ(喘鳴)、鼻閉 5.腹部膨満(時に臍ヘルニア) 6.多呼吸、陥没呼吸 7.便秘あるいは頻回のジュルジュル便 8.神経症状(易刺激性、後弓反張など)
過飲症候群の赤ちゃんは、お腹がパンパンで、臍ヘルニア(いわゆるでべそ)になっている赤ちゃんも多くいます。
過飲症候群かも…と思ったら
こちらを読んで「もしかしたら、わが子も過飲症候群かもしれない」と感じたら、一度、専門家に相談をしましょう。 出産した病院や母乳外来の助産師さん、小児科で相談することができます。 過飲について「緊急事態ではなさそうだけど、ちょっと心配…」という方は、新生児訪問や1ヶ月検診のときに相談するのもオススメです。
赤ちゃんは母乳を飲み過ぎる理由・過飲症候群の原因とは
そもそも赤ちゃんは、なぜ母乳・ミルクを飲み過ぎたり、過飲症候群になったりしてしまうのでしょうか? それにはいくつかの理由があります
【原因1】満腹中枢が未発達である
新生児~生後1ヶ月の赤ちゃんは、まだ満腹中枢が発達していません。 満腹中枢が発達していないということは「お腹いっぱい」という気持ちにならないということです。
赤ちゃんの胃は小さく、新生児なら34mlほど、生後1ヶ月でも90mlほどしか受け付けられません。 それにもかかわらず、お腹いっぱいという感覚がわからないため、小さな胃を満タンにしてもなお、飲み続けてしまいます。
【原因2】吸てつ反射で飲み続けてしまう
赤ちゃんは生きていくうえで欠かせない原始反射という能力を持っていますが、このなかに「吸てつ反射」というものがあります。 これは、指や乳首を赤ちゃんの口に触れさせると吸い付く行動のこと。
赤ちゃんが「飲もう!」と意識しておこなっているわけではないので、もともと体力がある赤ちゃんなら、スタミナがなくなるまで吸い続けることがあります。
【原因3】「母乳が足りない」と周囲が思い込んでいる
おっぱいをあげてもオムツを変えても赤ちゃんが泣いてしまい、困っていると、おじいちゃん・おばあちゃんや周囲の方から「おっぱいが足りないんじゃない?」と言われることもあります。 そこで「泣いている=母乳が足りないんだ」とミルクを足すことで、過飲症候群を促してしまう可能性があるんです。 というのも、ママや周囲の方が想像した以上に母乳が出ている場合があるため。
赤ちゃんはおっぱい以外の理由で泣くこともたくさんあります。 本来なら胃が満タンのところにミルクを足すことで、赤ちゃんが余計に苦しんでいる可能性があるのです。
【原因4】ママが母乳過多である
ママのなかには、母乳が出すぎてしまう「母乳過多」の方もいます。 授乳前に搾乳をしすぎたり、授乳の姿勢が悪くて赤ちゃんが上手に母乳を飲めなかったりすると、母乳がたくさん作られすぎてしまうことがあり、赤ちゃんが必要以上に飲んでしまう、という状況です。
母乳過多になってしまう原因は、高プロラクチン血症という病気や、生まれ持った体質が原因の場合もあります。 母乳が作られ過ぎる状態は乳腺炎など別の問題を引き起こす可能性も高いため、母乳過多に心当たりのある方は産婦人科や母乳外来での相談をオススメします。
参考:わんぱく子どもの食事研究所 https://admcom.co.jp/admwp/?p=3289 参考:ちょっと理系な育児 https://rikei-ikuji.com/?p=7728
母乳、ミルクの飲み過ぎ・過飲症候群の対策
赤ちゃんが飲み過ぎである・過飲症候群であるということがわかったら、こんな対策をするのがオススメです。
●混合育児の方はミルクを減らす ●泣いたらすぐに母乳を与えるのを止めて、散歩に出たり、室内で遊んだりする ●飲み過ぎて苦しそうな場合は、赤ちゃんを縦抱っこする
こういった不安は、なんでもかんでもママや家族だけで解決しようとする必要はありません。 独断でミルクや母乳を減らすのはよくない場合もありますから、不安がある方は必ず専門機関へ相談してから実行するようにしてくださいね。
ハッピーな母乳育児でありますように
母乳・ミルクの飲み過ぎと過飲症候群、その対策についてお伝えいたしましたが、いかがでしたか?
新生児や低月齢の赤ちゃんは、身体の仕組み上、どうしても飲み過ぎてしまう場合があります。 あまり神経質になる必要はありませんが、吐き戻しが多かったり、何をしても泣く・うめくといった様子が何回も見られる場合は過飲を疑ったほうがよいかもしれません。
母乳を減らすことに不安がある方も多いことと思います。 自己判断せずに、産婦人科・母乳外来・小児科などの専門家へ頼るのも、幸せな母乳育児の第1歩です。
これは、今から長い道のりとなる育児のファーストステップです。 さまざまな人の力を借りて乗り越えていくことも、あなたと赤ちゃんにとって大切な経験となるのではないでしょうか?
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