当時から小さな物音でも起きてしまうくらい眠りが浅かったわたし。夜中に目を覚ますと、いつも母が仕事をしている一階のリビングに降りるのが習慣でした。そんなとき、母がいつも作ってくれたのがホットミルクだったんです。
アツアツになって膜が張ったホットミルクを息で冷ましながら一日の出来事を話す、姉も父もいない、わたしと母だけの時間。お母さんっ子だったわたしは、母とふたりきりで居られるその時間が大好きで心から安心できる瞬間でした。
実家を出て一人暮らしをはじめてから、すっかり飲む機会の少なくなったホットミルク。夜に目が覚めてしまっても、いまは自分でつくるしかありません。眠れずに布団で丸まっているたびに、心がふっとほころぶような母の作るホットミルクの味を思い出して懐かしい気持ちになります。
次に帰省したときには、久しぶりに母にホットミルクを作ってもらいたいなと、これを書きながら思うのでした。