わたしは学生時代、「ハガキ職人」をしていました。ハガキ職人とは、特定のラジオ番組にハガキを数多く投稿する常連投稿者のこと。当時、生活の一部としてラジオを聞いていたわたしは、いろんな番組を聴いては投稿しパーソナリティーやリスナーと交流していました。

 苦しかった受験期、どうしようもなく悲しいことがあった日、なんだかわけもなく寝れない夜。そんなときにラジオの向こう側にいる人たちに笑わせてもらったり、励まされたり。わたしにとってラジオは、いつも程よい距離でそっと寄り添ってくれる、そんな存在でした。

 パーソナリティーの声の温かさ、思わぬ本音が飛び出すドキドキ感、リアルタイムでリスナーと番組を作り上げる臨場感、それぞれが想像によって自由に楽しめる世界。

 ラジオって小さな村のようだなと思うんです。パーソナリティーが村長で、リスナーが住民。村長と住民や、住民同士の近さが、なつかしい距離感で。だから一人でいるけど一人じゃないような、そんな感覚になります。なかには「令和の時代にラジオなんて流行らないのでは」と思う方もいるかもしれません。でも、この独特の距離感や臨場感は時代とともに風化しない、ラジオならではの魅力だと思うのです。