福岡県の下の方に位置する、お茶と古墳が有名で、土地だけは広いちいさな町、八女市。23年間住んだ、わたしの地元です。同じ県内ということもあり、社会人になって実家を離れた今でも、月に一度は帰省しています。帰ると、必ず深呼吸をするんです。山に囲まれた八女の澄んだ空気がすごく好きで、どんなに疲れていても身体にスーッと入って、心が落ち着きます。

 帰省の頻度を周りに話すと、「本当に地元が好きだよね〜」と言われますが、なにか特別な思い入れがあるとか、人に自慢できるような変わったなにかがあるわけではないんです。

 幼少期に小さな町の中を探検したり、古墳で見つけた穴に小さなカラダで入ってみたり、河原に集合して、誰が見つけた石が一番素敵かを競ってみたり……。常に新しい発見をしては、みんなで一緒に喜んでいた記憶があります。

 少し大人になって、自分でいける範囲が広がると、休みのたびに出かけて、近所にあるお店を巡ってはそこにいる人たちと話したり、カフェで友人と永遠におしゃべりしたり。きっと誰にでもある、そんななんでもない思い出がたくさん詰まった場所だからこそ、わたしは地元、八女で過ごす時間が大好きです。